殺生石は那須高原にある、謎の石の集まりの場所です。
殺生石には多くの伝説も残っています。
なぜ石ばかりの場所が、栃木県指定文化財に指定されているのか。
なぜ、多くの伝説が一つの場所に残っているのか。
実際の体験談も含め、アクセスや混雑状況・周辺施設や料金、駐車場もお伝えしていきます。
殺生石とは?
殺生石は、那須温泉付近にある大きな石のこと。
溶岩の塊だとも言われています。
殺生石には人を殺す力があると言われ、恐れられて封印しています。
その理由として、
- 殺生石一帯から火山性ガスが噴出していること
- 九尾の狐伝説
火山性ガスは
- 硫化水素
- 亜硫酸ガス
などの有毒なガスであったため、
「鳥獣がこれに近づけばその命を奪う」
と言われてきました。
また、あの有名な松尾芭蕉も奥の細道の中で、
「殺生石は温泉の出る山陰にあり。石の毒気いまだほろびず、蜂・蝶のたぐひ、真砂の色の見えぬほどかさなり死す」
と記しています。
という意味です。
今でも、ガスの噴出量が多い時は立ち入り禁止です。
また、殺生石には数々の伝説が残されています。
その中で有名なのが「九尾の狐」
数々の歴代の王をたぶらかし、国を破滅に追い込んだ九尾の狐が最後に逃げ込んだのが、那須高原。
那須高原でも人を殺し続け、悪さをするので、法力の高い僧が九尾の狐を石にするという伝説です。
硫黄のニオイが凄く、湯の花が採取できる場所でもある殺生石。
盲蛇石(めくらへびいし)という、湯の花を作るきっかけになった、蛇伝説の石もあります。
盲蛇石(めくらへびいし)伝説は、盲目の蛇の為に、ある青年が冬小屋を用意してあげたら、次の年の春、その小屋の中に湯の花があったという話。
蛇の為の冬小屋は
- 枯れ枝
- すすき
で作った為、そこからヒントを得て、湯の花を採取できるようになりました。
那須温泉の人たちにも湯の花の作り方を教え、そうして那須温泉は発展していき、感謝のしるしとして、蛇に似たこの石を「盲蛇石(めくらへびいし)」として祀っているのだそうです。
昭和32年には、栃木県指定文化財に指定されました。
その他、教傳地獄伝説もあり、教伝地蔵の周りには千体の地蔵様もいます。
- 温泉が湧き出る場所
- 伝説が多く残る場所
そして毒を放つと言われている殺生石。
ここ一帯は、恐らくかなりパワーが溢れる場所であることは間違いありません。
そのため、殺生石はパワースポットだとも言われています。
私個人的もそう思います。
そもそも、温泉が湧き出る場所というのはパワースポットだと言われています。
火山が吹き出る山の下にあり、温泉も湧き出る。
そんなパワーの強い殺生石なので、もしかするとそのパワーが毒になってしまう人もいるのかもしれません。
殺生石の伝説が多すぎる!
殺生石の伝説は
- 九尾の狐・玉藻前
- 教傳地獄
- 盲蛇石(めくらへびいし)
これは、殺生石という石伝説「九尾の狐」を始め、その周りで起きた出来事も含めます。
まずは一番有名な『九尾の狐の玉藻前』
平安時代の天皇・鳥羽天皇に嫁いできた女性が実は九尾の狐で、この女性が嫁いできてからというもの、鳥羽天皇は病に伏せるようになり、病弱になってしまった。
そのため、陰陽師が調べてみると、どうやら妻の正体が狐だとういうことが分かる。
ばれた狐は那須高原に逃げてきて石に変身し、その石から毒を吐くようになる。
その毒は人間や動物を死に至らしめるため、毒石を退治しようとたくさんの僧侶たちが試みるも、皆全滅。
源翁和尚という僧侶が一喝すると、毒石は3つに割れ飛び散りました。
という伝説で、そのうちの一つが、那須高原にある殺生石だと言われています。
これが九尾の狐伝説ですが、この伝説、実は実在するモデルがいました。
それが鳥羽天皇の妃・藤原得子という人物です。
得子は我が子を天皇にするため、そして自分の地位を頂点にたたせるため、様々な画策を行い、そして見事トップに君臨します。
その手法が、まるで裏の女帝そのものだったため、悪女とも呼ばれ、得子をモデルに「玉藻前」という名前の主人公で物語が作られました。
この悪女が実は王を滅ぼす狐だった、というお話。
玉藻前伝説の恐ろしさはこちらで詳しく解説しています!
この玉藻前の話から、過去をさかのぼり、中国の悪女たち
- 殷の妲己
- インドの華陽婦人
- 周の褒姒(ほうじ)
も九尾の狐だったとの言い伝えが残り、様々な伝説となっています。
九尾の狐伝説、実は人間の本当の姿が一番恐ろしかった!?
教傳地獄では、親不孝者の教伝がここ、殺生石で焼けただれて死んでしまう言い伝え。
実際にお地蔵さまがある場所は、教伝が一歩も動けず炭になって死んでしまった場所、ということで教伝地蔵が祀られています。
教傳地獄伝説の由来は、実は幻だった!?
千体地蔵という小さなお地蔵さまもいて、親不孝者を戒める場所ともなっていました。
盲蛇石(めくらへびいし)伝説は、実際に起こった話から、この石を蛇に見立て祀っています。
昔、ある青年が殺生石にいると、目の見えない盲目の蛇がやってきました。
目が見えないと冬が越せないだろうと、青年は蛇の為に
- ススキ
- 枯れた枝
を集めて蛇の小屋を作ってあげました。
冬が過ぎ春が来て、青年はまた殺生石にやってきました。
蛇の為の小屋を覗くと、蛇はもういませんでしたが、小屋には「湯の花」という温泉成分がありました。
湯の花は、温泉成分が結晶化されたものです。
当時、湯の花は貴重な資源でした。
青年は湯の花の作り方が分かり、その後那須温泉地元の人にも作り方を教え、そうして那須温泉の湯の花が発展していきました。
湯の花は、入浴剤の成分にも使われています。
昔、お殿様に年貢を納めていた時代、年貢は全て「米」が主流でしたが、那須温泉では「湯の花」を納めていました。
そうして、青年は感謝の気持ちを込めて、この盲蛇石(めくらへびいし)を祀ったのだそうです。
殺生石にはたくさんの伝説があり、そしてパワーみなぎるパワースポットだと、伝説からも読み取れます。
殺生石体験談
実際に殺生石へ行ってきました。
初めて行ったとき、正直「異様な雰囲気」だなと感じました。
なぜここが観光名所になっているのだろうか、と。
ですが、ここまで数々の伝説が残っている石の集まりは、他にないのではないか、と感じ、何か私達が想像もできないほどのパワーを潜めているのかもしれない、と思いました。
正直、ただの石の集まりです。
ですが、石の集まりから発せられる、独特の雰囲気には圧倒されます。
そして、殺生石で一番印象に残っているのが、硫黄のニオイ。
すぐ近くに「鹿の湯」という、昔々鹿がここで治療していたという有名な源泉温泉があるのですが、そこよりも殺生石の方が、硫黄のニオイがかなりきつかったです。
理由は、湯の花という温泉成分が殺生石にあるからなんですが、湯の花はそこら辺では取れないほどの貴重な資源だそうです。
実際に殺生石に行った体験談は、こちらで写真一杯に紹介しています!
殺生石へのアクセス
- 住所:栃木県那須郡那須町大字湯本182
- 電話番号:0287-76-2619 (那須町観光協会)
駐車場
駐車場は30台。料金は無料。
殺生石の詳細
営業日・営業時間
時間指定なし
無休。
料金
無料
所要時間はどれぐらい?
15~20分ほどで充分に回れます。
トイレある?
無料トイレあります。
那須高原って、那須街道を外れると中々コンビニもないので、意外とトイレに困ります。
殺生石にも、広い公衆トイレがあります!
混雑状況
連休中は駐車場は混みますが、園内はそこまで混んでいません。
早い人だと10分ぐらいで観光し終わるので、回転が速い感じです。
殺生石は犬も一緒に行ける?
行けます。
外なので、気軽にワンちゃんと見物できますよ^^
那須高原旅行記1泊2日で訪れたおすすめ8選!
殺生石でのイベント
5月には「御神火祭(ごじんかさい)」という火祭りも開催されます。
※山水閣通公式サイトより
- 那須温泉神社から練り歩く松明行列
- 実際のカップルによる神前婚「狐の嫁入り」
- 九尾太鼓の奉納
など、キツネにちなんだお祭りなので、見どころ満載です。
狐の嫁入りは、少し怖い気もしますが(笑)
殺生石周辺観光
- 鹿の湯
- 那須温泉神社
- 那須ロープウエイ
- 茶臼岳
鹿の湯は道路を挟んだ目の前です。
川の流れに沿って歩くと、到着です。
是非、那須温泉名物「鹿の湯」は堪能してみて下さい。
那須温泉神社は、殺生石がある左側の山の上にあります。
歩いてすぐです。
那須ロープウエイは、目の前の道路をひたすら山の上に向かって走るとあります。
那須ロープウエイ山麓駅から山頂駅に到着すると、茶臼岳からの景色を堪能することができます。
その真下辺りが、殺生石です。
茶臼岳の頂上まで頑張って歩くと、見たこともない景色が拝めます。
ちなみにおすすめ観光コースは、先に那須ロープウエイへ行って山登りをしてから、車で山を下り、殺生石を拝んで鹿の湯に入る。
問題は、鹿の湯に入れるのが17:30までだということ。
意外と忙しいです(笑)
まとめ
殺生石って、殺す生かす石、と書きますが、これってどういう意味なんでしょうか。
昔は火山性ガスの噴出量も多かったようで、動物や人間までも死んでしまったことはあるようですが、逆に生かすこともあったのでしょうか。
九尾の狐伝説が本当ならば、本来の力「繁栄させる能力」を使って、誰かを生かし輝かせたのかもしれません。
殺生石の伝説は、不思議なものが多いですが、それだけ多くの謎が残っているのかもしれません。
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